救急看護師として第一線で活躍するフライトナースにはさまざまなスキルが求められます。まず大事なのは、冷静に判断し、臨機応変に対応できるスキルでしょう。ドクターヘリには医師や看護師のほか、パイロットや整備士などが搭乗し、現場では消防士や警察官も駆けつけます。また、患者さんやご家族への精神的なサポートを行う必要もあり、さまざまな人とのコミュニケーションが欠かせません。医師からの指示を待つだけではなく、率先して行動できるスキル、コミュニケーションを図りながら周りを統率するスキルが必要です。
ドクターヘリに搭載できる医療機器は限られています。手元に準備されている医療機器や救急バッグだけでは治療が困難になるケースもありますが、あるもので対応しなければならないため、柔軟に発想転換するスキルや応用力も必要です。また、看護師としての知識だけでなく、救急医療に関する幅広い知識も求められます。医療も日々進歩しているため、常に向上心を持って新しい知識やスキルを追い求める意欲も欠かせないでしょう。
フライトナースとして活躍するためには、日本航空医療学会フライトナース委員会の選考基準を満たす必要があります。その基準は、看護師経験5年以上、さらに救急看護経験3年以上の実務経験がある場合です。フライトナース自体は国家資格ではないので、看護師として国家資格を取得し、現場でしっかりと実務経験を積んでいることが大前提ですが、基準とされている経験値は「そのくらいの実務経験が必要だ」という目安でもあります。
経験に加えて必要なのが、救命救急医療の資格であるACLSプロバイダーおよびJPTECプロバイダー、ドクターヘリ講習会の受講、第三級陸上特殊無線技士の資格が不可欠です。フライトナースになるまでの道のりは簡単ではありませんが、スキルを活かして活躍できるのは間違いないでしょう。